あの日の風景は今でも目に残っている。
この先一生忘れることはないだろう。
何気なく毎日を過ごしていた。
特に大きな事もなくただ過ぎていた。
TVを見て笑い、仕事をしてご飯を食べて、・・・家族との時間が過ぎていく。
そう、弟の事を考える時間は多くは無かった。
それぞれが別の生活をし、私も新しい家族との時間が増えていたからだ。
お互いに独立し別々の場所で別々の時間が増えていた。
どんなことを考えどんな困難にぶつかっているのかすらわからないほどの大きな距離があった。
・・・いや、私に比べ大きな困難を抱えている事は知っていた。
しかしながら私にできる事は多くなかった。
出来ないから半分以上見ないようにしていたのかもしれない。
私には守りたい家族がいて、優先順位をつけていたのかもしれない。
弟だって家族だ。
そんなことはわかっている。
大事な家族であることに変わりはない。
でも大事な家族だからといって全てを平等に、全ての為に自分が100%存在することは出来るのだろうか。
同じ空間を共にしている家族と、遠く離れている家族。
同じように見る事、同じだけ考える時間を作る事ができるといえるのだろうか。
・・・私にはできなかった。